
歌舞伎町のホストへまずは店選びを始める。――ネオンの渦。
その中心にたどり着く前に、国見はスカウトたちに囲まれていた。
「うちは日当も出るし、バックも即日払いだよ?」
「最初からスーツ貸すし、寮も完備してるよ!」
言葉の応酬。確かにどの店も好条件を掲げていた。
だが、笑顔の奥に潜む“都合のいい話”を、国見は冷静に見ていた。
「ホストの店選びって、就職より難しくね?」
冗談めかした一言の裏には、現実を見抜く目があった。
実際、ホストの世界では、店選びを間違えただけでキャリアが潰れる。
ある店は「派閥が強く、ルールが曖昧」。
またある店は「新人にチャンスがない」。
そして別の店は「最初の売上だけで未来が決まる」という噂すらあった。
だからこそ、彼は決めていた。
「名前なんて売れてなくていい。だけど、チャンスだけは平等に欲しい」
どんなに甘い言葉をかけられても、ホストとして成功するには“自分の直感”を信じるしかない。
その末にたどり着いたのが、小さな無名の店だった。
看板も出ていない。ビルの5階。ドアを開けた先には、無愛想な男がひとり。
「面接? 名前、年齢、経験は?」
事務的な質問。だが、国見はまっすぐ答える。
「経験なし。でも、勝つ気だけはあります」
その言葉に、男はふっと笑った。
「……なら、やってみろ」
ホストとしてのスタートラインに立てた瞬間だった。
このホスト店選びが、彼の運命を大きく変えていく。
その頃、東條は組織の一室で、新しい雑巾を手にしていた。
少しずつ、だが確実に、裏社会の底から這い上がろうとしていた。
交わした“誓い”だけが、ふたりの行き先を繋いでいた。
「第3話ホスト 店選び」この作品が漫画化されました!
ぜひそちらもお楽しみください!
第3話 ホスト 店選びの分かれ道――何を信じ、どこで夢を見るか
