
ホスト 派閥 報復――その言葉を、国見は営業後の控室で噛みしめていた。なぜなら、幹部補佐に就任してわずか数日、早くも「リュウガ派」の牙が向けられたからだ。
「この伝票、お前の卓で抜けてるらしいな」
帳簿を突きつけてきたのは、派閥色の濃い先輩だった。もちろん国見の卓では、伝票の処理漏れなど一度もない。それでも「疑い」を植えつけるだけで、信頼は簡単に揺らぐのがホストの世界だ。
さらに追い討ちをかけるように、フロアでは噂が流れた。
「国見は幹部補佐の肩書きに守られてるだけ」
「実力じゃリュウガに勝てない」
その声はやがて、新人たちの耳にも届いていった。つまり、派閥争いは“数字の戦い”ではなく、“人心の奪い合い”に移行しつつあったのだ。
幹部補佐の試練と、立ち位置を問う声
国見は鏡の前で自分を見つめ直した。
「俺は……本当に守られてるだけなのか?」
思い出すのは、ユウトの言葉だった。
『守られてるだけの人間が、幹部のイスに座るな』
確かに、田村や東條の支えがなければ、ここまで来られなかったかもしれない。しかし、それを「不当な後ろ盾」と言わせてしまうなら、幹部補佐という立場はただの“虚像”だ。
そこで国見は決意する。
「俺は数字で返す。……でも、数字だけじゃ終わらせない」
なぜなら、売上を積み上げることは最低限。だが今必要なのは、「この人なら信じられる」と新人や後輩たちに思わせることだ。派閥報復を超えるためには、フロア全体を巻き込むしかない。
東條の影と、静かな警告
同じ夜、別室の暗がり。田村が資料を片手に報告を終えると、椅子に座る東條がゆっくりと目を開いた。
「……始まったな、派閥の報復が」
彼は声を荒げなかった。むしろ、淡々と状況を読み解いていた。
「リュウガを正面から潰す必要はない。だが、国見を守る網は張っておけ」
田村が頷く。
「裏で支えても、本人が立たなきゃ意味がない」
「……だからこそ、見守るんだ」
東條はそう呟き、再び闇に溶けていった。姿は見えなくても、確かに“影”はそこにあった。
ホスト 派閥 報復に抗う覚悟
営業後、国見は新人たちを前に口を開いた。
「俺は幹部補佐になった。でも、守られてるだけだって言われるのは悔しい。だから、数字で証明する。けどな――俺一人じゃなく、お前らと一緒に勝ちたい」
その言葉に、静かな拍手が返った。小さくても確かな共感だった。
ホスト 派閥 報復は続くだろう。だが、それに怯まず立ち続ける姿こそが“信頼”を生む。
国見は背筋を伸ばした。彼の戦いはまだ序章にすぎない。
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