
ホストのレンタルスーツ は選び放題?
「このレンタルスーツの中から、どれか好きなのを選んでいいよ」
そう言って先輩ホストが案内してくれたのは、壁一面にズラリと並んだ色とりどりのスーツたちだった。
ジンは目を見開いた。
(スーツって、こんなに種類あるんだ……)
黒やネイビーだけじゃない。グレー、ブラウン、さらに細身のシルエットにストライプ、チェック柄まで。
一見するとフォーマルに見えるが、どれも少し華やかさを帯びていて、“夜の仕事”らしい気配をまとっていた。
「スーツって、色んなデザインや色があるんですね!」
思わずそう口にすると、先輩が嬉しそうに頷いた。
「そうなんだよ。中にはブランドスーツもあるからね」
ホストのレンタルスーツは“先輩の名残”付き!?
ジンはあれこれ物色しながら、ふと足を止めた。
「……」
「どうした?」と先輩が声をかけるが、ジンは無言のままスーツの襟に手を添えている。
数秒後、思わずつぶやいた。
「な、なんか、臭うんですけど……」
すると、先輩はどこか苦笑いのような表情で
「……ああ、それな」と苦笑いしさらにこう言った
「色んな奴が着てるからな。タバコや香水の臭いは仕方ないよ」
レンタルスーツには“夜の匂い”が染みつく
実は「ホストのレンタルスーツ」には、ちょっとした“あるある”がある。
ホストクラブでは、体験入店や新人ホストのためにレンタルスーツが用意されている。
初期費用を抑えられるし、お給料が出てから自分に合ったスーツを購入する人も多い。
ただし――
このレンタルスーツ、多くのホストが共有で使っているため、多少の使用感があるのは避けられない。
たとえば、香水の残り香、または、タバコの煙の匂い、さらに夏場には汗のにおいも…
もちろん洗濯頻度は高くないため、どうしても「夜の現場の空気」が染み付く。
したがって、臭いは“ファブ”でなんとかする!
しかし、その対策も抜かりはない。
ホストクラブの控室には、あらゆる場所にファブ――つまり、ファブリーズが置かれている。
「そのスーツちょっとキツイな」と思ったら、
とりあえずファブをぶっかけておけばOK、というのが結果として暗黙の了解。
そう、ファブはホストの仕事道具といっても過言ではない。
大事な接客前にはファブ。帰る前にもファブ」
という、ファブ漬けの毎日が新人ホストのあるあるらしい。
ちなみに、ですが、
同様にキャバ嬢のドレスもお店レンタルが主流だが、人気のある衣装ほど臭いが強くなるとか。
要するに皆が着るからこその“代償”なのだ。
レンタルスーツが気になるなら…ホストはいずれは“自分の一着”を
ジンは、少し困った顔をしながらスーツを戻した。
(見た目はカッコイイのになぁ……)
もちろん、すべてのスーツが臭うわけではない。
中には比較的新しいものや、使用感が少ない“当たりスーツ”もある。
だが、こうした経験があるからこそ、ホストたちは自分に合った一着を持ちたいと思うようになる。
最初はレンタル、慣れてきたらオーダースーツ――という流れが自然なのだ。
それでも、体験入店にはありがたい存在。
何も持たずに来ても「とりあえず働ける」環境があるからこそ、チャレンジのハードルが下がるのだ。
ホスト用語解説
ファブ:ファブリーズの略。匂い対策としてホストクラブでは必須アイテム。
レンタルスーツ:お店が用意する共有スーツ。無料または格安で使用可能。最初はレンタルから始めるホストが多い。
このエピソードの原作漫画はこちら!
「第16話 ホストクラブのロッカールーム」に続く ぜひご覧ください。
