「言葉のない再会」第2話

言葉のない再会

言葉のない再会 初めて歌舞伎町の店へに向かう道中。そこで出会ったのは、かつての“家族”だった――。

そして、夜の街が、やがて少しずつ、ざわめき始める。
そう思うと、あっという間に、ふと気づけば、ネオンの光が、ビルの窓や水たまりに反射して、まるで別世界にいるようだった。

「……これが、歌舞伎町か」

昇大は、思わず、さらに吐く息に混じるような小さな声でふと気づけばそう言っていた。
要するに人生で初めて踏み込む“夜の街”。とはいえ、もちろんあらゆる看板が、彼らを試すように光っている。

やがて龍斗は、「ねぇ緊張してる?」とポケットに手を突っ込んだまま、歩幅を変えず、横に並んで兄に
思わず甘えて尋ねてみた。

「してねえよ。……まあ、ちょっとだけはな!」

その言葉に、龍斗は何よりも珍しく笑った。そう、結局は楽しかったからだ。
そう思うと、気づけば昇大にもそんな彼の笑みも久しぶりのように思えた。


言葉のない再会 第三の兄弟のはず・・・


その後、二人が店へ向かう途中、交差点で、ひときわ目を引く黒塗りの高級車が目の前をゆっくりと、通り過ぎた。そして同様に、窓を開けた。

昇大はそして、その時、偶然、昇大がそれを見かけた。
「……ん?」と一瞬考えた。その理由はシンプルだ。

数年前、突然孤児院から姿を消した――
そして、兄弟にとっては戦友であり、さらにもう一人の“家族”のような存在だ。

「ヒロ……?」

昇大が思わず名前を口に出すと、
ヒロと思われし彼は、一瞬だけこちらに視線を向けた。
もちろんその瞳は、あの、かつてのあの優しいヒロじゃなかった。
どこか冷めていて、遠くを見ているような目だった。

そして、一瞬だけこちらを見ると気づいているのか、いないのか、けっきょく無表情で視線を前にむけ、無言でウィンドウを閉め、その後、車は夜の闇に溶けていった。

「ヒロ……だろ???……」

昇大は立ち止まったまま、言葉もなく、去っていく車を見つめていた。

「……行こう。時間、ギリギリになる」

そして、龍斗の一言結果的に、再び兄の足を再び動かした。


【R-S アールズ】――

もちろん看板のネオンが、まるで新世界のゲートのように煌めいていた。

さらに、扉の向こうに、何が待っているかなんてわからない。
でも、もう振り返るわけにはいかなかった。

「俺たちは、やるって決めたんだ」


次回予告(第3話)

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