
ホスト 裏の掟──その言葉は、派閥争いの渦中にある国見の耳に重く響いていた。
というのも、彼はついに幹部候補として名前を挙げられたが、その立場は決して“表の評価”だけで決まるものではなかったからだ。
つまり、売上や指名本数といった明確な数字の裏には、必ず“掟”と呼ばれる見えない選別基準が存在していた。
ホスト 裏の掟に支配される候補者たち
控室の机に置かれた昇格リストを前に、国見は言葉を失っていた。
リストには「売上」「客数」と並んで、「派閥支持」「推薦者」という欄が記されている。
数字を積み上げても、派閥の支援がなければ昇格できない。逆にいえば、数字で劣っていても“誰かの影”を背負えば椅子を勝ち取れる。
「……これが、ホスト 裏の掟か」
国見は思わず呟いた。
その瞬間、ドアが静かに開き、東條が現れる。
「お前が誰に頭を下げるか──それで先は決まる」
淡々とした言葉。しかし、背後から照らすような信頼も含まれていた。
なぜなら、東條は常に国見を“自分の意志で選べ”と導いてきたからだ。
掟と信頼──どちらを選ぶか
一方、会議室では田村とユウトが資料を突き合わせていた。
「リュウガの数字は強い。だが、彼に任せたら組織は荒れる」
田村の声には迷いがなかった。
ユウトは反論しようとしたが、結局言葉を飲み込んだ。
なぜなら、リュウガの強引なやり方は確かに結果を残している。けれども、その影には裏工作や強圧的な手法が透けて見えていた。
「ホスト 裏の掟ってのは、結局“誰が信じられるか”なんだ」
田村は書類にペンを走らせながら呟いた。
つまり、組織を支えるのは売上だけではなく、仲間や客に信じられる“人間力”。
そう気づいていたからこそ、彼は国見の名を外さなかった。
ホスト 裏の掟に挑む国見の決断
営業が始まると、フロアはきらびやかな光に包まれた。
だが、国見の胸には重苦しい迷いが渦巻いていた。
(掟に従うのか……それとも、自分を貫くのか)
接客席で笑顔をつくりながらも、頭の片隅には“派閥”の文字が浮かんで離れない。
しかし、グラスを差し出した瞬間、奥に立つ東條の影が目に入った。
無言の視線。それは「答えは自分で決めろ」という合図のようだった。
国見は大きく息を吸い込み、客に向かってはっきりと言った。
「俺は、俺のやり方でやらせてもらいます」
その声は緊張で震えていたが、揺らぎのない覚悟が込められていた。
掟を超える信念
深夜、営業を終えたフロアに静けさが戻る。
国見の発言は一部の先輩たちをざわつかせた。
「掟に逆らう気か?」「無謀だな」
そんな声もあったが、逆に「面白い奴だ」と笑う者も現れた。
ユウトは静かに呟いた。
「結局、こういう奴が最後に残るのかもしれないな」
その言葉を聞き、東條は何も言わなかった。ただ、暗い廊下で煙草に火をつけ、遠くを見つめていた。
──ホスト 裏の掟。
それは従うためにあるのではない。むしろ、自らの信念で打ち破るために存在するのかもしれない。
国見はその夜、初めて“掟に挑む者”として歩みを進めた。
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