「指名って、どうやって取るんですか?」第6話

ホスト 初心者 成長物語

ホスト 初心者 成長物語 ここから始まる。
ついに昇太と龍斗のふたりは上京し、ついに歌舞伎町のホストクラブで働き始めた。

だが、最初の数日は、ただ立っているだけ。
テーブルに呼ばれることもなければ、名刺を渡す相手すら現れない。

「ホストって、こんなに何もできないもんなのか……?」
その現実に、思わず息を飲んだ。

売上ゼロの現実と、募る焦り

当然ながら、最初の売上は“ゼロ”。
それでも、ふたりは毎日出勤し、掃除をし、とくに笑顔で挨拶を続けた。

とはいえ、不安は膨らむ。
このままで本当に、自分たちは売れるようになるのか?
答えは、誰にもわからない。

しかし、辞めるという選択肢だけは、頭になかった。
なぜなら――支えてくれる兄弟が、隣にいたからだ。

先輩ホスト・カズの言葉に救われて

そんなある晩、龍斗は思いきって先輩ホスト・カズに聞いた。
「カズさん、どうやって最初の指名取ったんですか?」

カズは少し笑って、味噌汁をすすった。
「正直、たまたま、だな。でも“その1回”を次につなげるために必死だったよ」

さらにこう続けた。
「お前らもまず、“1回”取ってみろ。考えるのは、それからでいい」

この言葉が、龍斗の心を強く揺さぶった。
「最初の1回がほしい。たとえ偶然でも、自分の力に変えたい」――そう強く思えた。

店長の言葉と、昇太の気づき

一方、昇太も“きっかけ”を掴み始めていた。
ある日の面談で、店長がこう言った。

「お前は、正直で誠実。それを武器にしろ」

最初は意味がわからなかった。だが、数日後ふと気づく。
龍斗とふたりでいるとき、自分たちの姿が“まっすぐ”に映ることがある。

「派手じゃなくてもいい。自分たちには、自分たちなりの強さがある」

その確信が、昇太に本名で勝負する覚悟を与えた。

昇龍――ふたりだけの、約束の名前

「俺は“昇太”で行く。お前は?」

昨晩、あのあと龍斗はそう答えた――

「僕も、“龍斗”のままで行くよ」

昔から決めていた。

「二人の名前を合わせたら“昇龍”になる」

子どもの頃からの、誰にも話してこなかった僕たちだけの言葉だ。

他の源氏名なんて、必要ない。そう思えた。

小さな成長が、確かな“変化”に

少しずつ、兄弟の様子が変わってきた。
昇太は名刺の渡し方を工夫し、龍斗は自分から話しかける勇気を持ち始めた。

まだ指名はない。けれど、行動が変われば、周囲の目も変わる。
わずかにでも変化を感じたその日、ふたりは初めて笑って帰ることができた。


次回予告(第7話)

「売れるやつって、なんで売れるの?」
先輩たちのテーブルを遠巻きに見ながら、ふたりが気づく“接客の秘密”。
次回、夜の世界に響く、リアルな答えが見えてくる――。

さらにその他の連載作品をご紹介します。

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