
ホスト 兄弟 すれ違い 昇大は、イベントの成功が目前に迫るなかで、どこか浮き足立っていた。
もちろん、喜ばしいことではあった。
とはいえ、その熱量に龍斗は終始ついてこようとはしなかった。
ホスト兄弟のすれ違い
それは、ほんの些細な言葉のズレや、視線の交わらなさから始まった。
けれど、確実に、何かが噛み合わなくなってきている。
かつては同じ夢を追い、肩を並べて歩いてきた兄弟。
それなのに今は、別々の道を歩き始めたかのような錯覚さえあった。
つまり、兄弟としてのホスト人生に、目に見えぬ“亀裂”が生まれつつあったのだ。
すれ違う兄弟が、それぞれの客に向き合う夜
営業中、昇大は指名席で盛り上げる一方で、
龍斗は初指名の女性客とゆっくり話していた。
「あなた、他のホストとちょっと違うね」
「そうかも。俺、兄貴ほど“派手”じゃないから」
それは、あえて兄と同じ道を歩まないという、差別化を意識した一言だった。
とはいえ、対抗心というよりも――自分なりのやり方を貫きたいという想いの表れだった。
つまり、龍斗にとっては、兄を超えることよりも「同じにはなりたくない」という気持ちのほうが強かったのだ。
ホストとしての自立と、兄の焦り
龍斗の売上が静かに伸び始めていた。
店長の神崎もその変化に気づく。
「弟くん、ちょっと空気変わってきたね」
「あいつ、最近何か考えてるのかもな……」
昇大は、弟の背中が遠くなっていく感覚に、言いようのない焦りを覚え始める。
“兄の背中”を見失った弟が選んだ道
営業後、ロッカールームで向き合う兄弟。
昇大が話しかけようとするが、龍斗は一言だけ呟いて立ち去る。
「オレ、もう“誰かの背中”を追うだけのホストじゃないから」
その背中は、かつて兄が自分に見せた“決意の背中”とよく似ていた。
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