
ホスト 成功 孤独の裏にある孤独
営業が終わり、店内に静けさが戻る頃――
昇大の名前が、今月のNo.1として堂々と貼り出された。
当然ながら、拍手と賞賛の声が沸き起こる。
けれど、その輪の中心にいたはずの彼の表情は、どこか虚ろだった。
「弟くん、今日は遅れて来るってさ」
そんな一言が耳に届いたときも、昇大はただ小さくうなずくだけだった。
たとえホストとして“成功”を掴んでも、
隣にいるはずの弟がいない夜は、どういうわけか冷え冷えとしていた。
つまり、手に入れた栄光は、心を満たすには足りなかったのだ。
■ 成功しても埋まらない、ホストの孤独
その夜、龍斗はふと立ち寄った裏通りのコンビニ前で、カズとばったり出くわした。
一時はNo.1の座に君臨していた伝説の男。
とはいえ、今もホストを続けながら、夜の裏側にも精通している存在だった。
「売れたヤツって、案外孤独なんだよ。どれだけ華やかに見えてもな」
「支える側のほうが、実はずっとキツいかもしれない」
そんなカズの言葉に、龍斗は苦笑いを返す。
「いや、もう支えてませんよ。兄貴、最近は勝手に走ってるだけなんで」
そう答えたとき、カズの表情がほんの少しだけ曇った。
というのも、その言葉には――寂しさよりも、あきらめが滲んでいたからだ。
■ 孤独な成功者と、置いていかれる弟
昇大は、翌日に控えたイベントの打ち合わせに追われていた。
「来月の誕生日、ちょっと派手にいこうと思ってさ。
だからこそ、お前にも手を貸してほしいんだよ」
そう話しかけたとき、ようやく帰ってきた龍斗は目をそらしたままだった。
そして、少し間を置いてから――
「……考えときます」
その一言は、驚くほどあっさりしていた。
けれど、昇大にとっては決して軽く流せるものではなかった。
むしろ、“線を引かれた”ような感覚すら残った。
つまり、兄弟の間にあったはずの温度が、ほんの少し冷えてしまったのだ。
■ 成功した兄に届かなくなった背中
昇大は、翌日に控えたイベントの段取りに追われていた。
「来月の誕生日、ちょっと派手にやりたいと思ってさ。
それだけに、お前にも力を貸してほしいんだ」
そう声をかけたとき、ちょうど龍斗が店に戻ってきた。
とはいえ、その目は兄と交わることなく、壁の向こうを見ていた。
そして、ほんのわずかな間を置いて――
「……考えときます」
たった一言。
にもかかわらず、それは昇大の胸に冷たいしこりを残した。
けれど、彼は何も言い返さなかった。
むしろ、その言葉に込められた距離感のほうが、痛みを深くしていた。
つまり、かつて自然に繋がっていた兄弟の温度が、音もなく離れ始めていたのだ。
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