
ホストを続ける覚悟が問われる夜。
ナンバーから落ち、同期のジンもいなくなった。
そして、売上も、指名も、期待も──すべてが霧の中に消えかけていた。
だが、それでもレンは店に立ち続けていた。
なぜなら、「ここで終わりたくない」と、どこかで強く願っていたからだ。
たとえ結果が出なくても、拍手されなくても、
ホストを続ける覚悟があるか──それだけが、今の自分に残された問いだった。
辞めていく背中を、何度も見送った
この数ヶ月、何人の背中を見送ってきただろう。
笑顔で送り出す先輩。さらには黙って姿を消す後輩。
言葉にならない別れが、夜には多すぎる。
「お前も、そろそろ潮時かもな」
そんな言葉をかけられることもあった。
けれどレンは、静かに笑って首を振った。
続けること。それが、いちばん難しいことだと知っていたからだ。
売れない日にも意味がある
もちろん、売れるに越したことはない。
だが、“売れない時間”にも意味はある──そう思えるようになっていた。
自分に何が足りないのか。
なぜ、呼ばれないのか。
考え抜く日々こそが、レンの土台を作っていた。
「今、辞めたら全部が“無駄”になる」
そう思えるようになったのも、積み重ねた時間があるからだ。
それでも、夜に立つ理由
ドン底にいた夜、先輩が言った。
「それでも来るやつが、本物になる」
簡単に売れたやつは、簡単に消えていく。
継続する力は、才能や外見では測れない。
ネオンの下に立ち続ける。
それだけで、人を変える力があると信じていた。
だからレンは、今日もシャツにアイロンをかける。
自分を奮い立たせるように、鏡の前に立つ。
それが、ホストを続ける覚悟──
誰に見られていなくても、勝手に生まれる“誇り”だった。
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