
ホスト 新人の名札が目に入った
「新人の涼です。よろしくお願いします」
彼は、ぎこちなく一礼して席に座った。
スーツは少し大きめ、笑顔もまだ硬い。
私も思わず、かしこまって返した。
「よろしく……あれ? 名札ついてるんだね」
言いながら、私は彼の胸元に目をやった。
白地に“涼”の二文字。キラキラしたホスト名ではなく、やたらと素朴でまっすぐな名前だった。
■名札が意味するもの
「新人の期間は、名札をつけるよう言われてて」
涼くんは、少し照れたようにそう答えた。
「へぇ……じゃあ、早く名札が取れるようになるといいね」
私は軽く笑ってそう返した。
とはいえ、本当はもっと話しかけてほしかった。
■ホスト 新人は喋らないと“置物”に見える
「はい……」
彼の返事は短く、視線も泳ぎがち。
それ以上の言葉はなかった。
(……私、嫌われてるのかな?)
沈黙がつらかった。
こうして目の前にホストがいるのに、まるで誰もいないような時間が流れていた。
お金を払ってまで、置物みたいなホストと黙ってるなんて。
そんな気持ちが、胸に小さく波紋を広げていく。
(キットチガウヨネ……)
■ホスト 新人はまだ“話す勇気”がないだけ
でもきっと、彼も不安なのだ。
どう話せばいいかわからない。
失敗が怖くて、黙ってしまう。
それが「ホスト 新人」のリアルなのかもしれない。
指名もまだない。
名札もついたまま。
“まだ何者でもない”彼は、たった今この世界に飛び込んできたばかりだ。
■ホスト 新人は“体入”から始まる
ちなみに、こうした新人たちは**体験入店(体入)**から始まる。
その日限りで店に立ち、雰囲気を知ってから働くか決める。
中には“体入荒らし”と呼ばれるような、
いろんなお店に試しで入りまくる人もいるらしい。
でも、それは当然のこと。
だってこの世界には数えきれないほどの店があるのだから。
いいお店を見つけるまで、探し続けるのはむしろ正解だ。
■ホスト 新人に必要なのは“経験”と“会話”
今日の涼くんみたいなホストを“置物”と呼ぶ人もいる。
でも私は、心のどこかで彼を責められなかった。
一生懸命、笑おうとしてた。
たどたどしくても、返事をしてくれた。
“ホスト 新人”にとって、まずは目の前の1回が大きな一歩なのかもしれない。
▶ この話の原作4コマは
ホスト漫画ドットコム第17話「ホストの新人」 に掲載中!
