
外見だけでないホストの魅力があるはず。しかしホストはかっこよくないとダメなのか?まずは、とりあえずネットで調べてみる。コンビニの休憩室で、ジンはスマホを弄りながら呟いた。昨日のケンの事が、頭の片隅にずっと引っかかっていたのだ。指先が慣れないキーボードを叩き、「ホスト 求人 ドットコム」と検索する。すると画面に現れたのは、そこはきらびやかなホストたちの写真と、魅力的な求人情報だった。
「高収入!すげー!」
思わず声が出た。アルバイトの数倍はありそうな給与額に、ジンは目を丸くする。さらに、「未経験者優遇」加えて「お酒飲めなくてもOK」さらに「寮完備」さらに「ヘアメイク完備」さらに「すぐ入居可能」さらに「高額バック」さらに「複数の賞与あり」さらに「ノルマ無し」さらに「入店祝い金あり」さらに「紹介料あり」と、甘い言葉が次々と目に飛び込んでくる。こうして見れば見るほど、頭がぐるぐると回り始めた。しかしこんなに好条件なら、自分にもできるかもしれない。
「はっ⁉」
その時ふと、ジンは何かに気がついたように顔を上げた。画面に並ぶイケメンたちの写真が、脳裏をよぎったのだ。
イケメンじゃないと働けないのかな?
さらに独り言は、不安の色を帯びる。「ホストってイケメンじゃないと働けないのかな?」
ジンは、そこで深く考え込んだ。(確かにネットには、キラキラしたイケメンばかりが載っている。けれども、ケンは特別イケメンだったわけじゃない。それに、ホストの世界って、本当にイケメンしかいないんだろうかな? そういえば確か、ネットのコラムで読んだことがあったな。「ホストは、外見だけでない魅力を持った方が有利!と。自分だけの魅力!そうホストクラブでは、色んなホストがいる」って、太っているホスト、いわゆる「デブホス」は冬暖かくて最高らしいし、ガリガリの「ガリホス」もいる。30歳以上の「じじホス」は落ち着いてて、若い子にはない魅力があるとか。中には60近いホストもいる店もあるらしいし…。)
(また派手なイケメンが苦手なお客様もいるって書いてあったな。お客様の好みは本当に様々らしい。それに加えて、ホストクラブのちょっと暗い照明と、プロのヘアメイクがあれば、誰だって雰囲気イケメンになれる、とも。つまり、ホストはかっこよくないとダメってわけじゃないんだ。)
外見だけでない魅力など様々な情報が交錯する、、、
ジンの頭の中で、様々な情報が交錯する。果たして、イケメンじゃなくてもいいのか? いやいや、本当だろうか? しかし、求人情報には「未経験者優遇」と書いてある。(そうか、ホストやってみたいけど、顔やスタイルに自信がなくて勇気がない方 一度面接行ってみてください。ホストクラブって普通の男の人がいっぱいですよ!よし、勇気を出して、一度話を聞いてみるのもありかもしれない。
ジンは、スマホの画面を食い入るように見つめたまま、長い長い沈黙に入った。そして彼の心の中で、小さな勇気の芽が、ようやく顔を出そうとしていた。
この話をぜひ原作漫画で読んでください!!ホスト漫画ドットコム ジン君 第2話