
ホスト 裏切り 派閥の兆候
幹部補佐となった国見は、早朝のバックヤードで帳簿を確認していた。
というのも、朝一番に確認した伝票に、どこか引っかかる感覚があったからだ。
売上伝票と、指名データ。
どちらも公式な記録のはずだった。
しかし、その二つに、わずかな“ズレ”があった。
最初は気のせいだと思った。
とはいえ、そう割り切れるほど単純でもない。
だからこそ、国見は何度もページをめくり直した。
だが──見れば見るほど、整合性が取れていない。
つまりこれは、記録ミスではなく、意図的な“改変”の可能性がある。
そう気づいたとき、彼の背筋に、かすかな寒気が走った。
「……この伝票、先月のやつと差し替わってる」
不自然に消えた指名、改ざんされた小計。しかもそれは、ある先輩ホストが関与した夜に集中していた。
ホスト 裏切り 派閥の影と向き合う東條
その頃、東條は別のルートから、すでに“異変”を掴んでいた。
「対立グループの幹部が、うちの人間に接触してたらしい。」
田村がそう報告を終えると、東條はわずかに目を伏せ、
そして静かに答えた。
「……やっぱ動いたか。」
というのも、売上が操作されているという話は、
単なる内部トラブルでは終わらない。
むしろ、それは**“内部に協力者がいる”ことを裏付ける証拠**でもあった。
つまり、これは一件の不正ではない。
派閥争いの幕開け――その始まりにすぎなかった。
「このままじゃ、国見が的になる。」
そう言って、東條はすぐに指示を出す。
だが、その語尾に感情はない。
あるのは、冷静な判断と、明確な作戦だけだった。
「国見の周り、さりげなく見張らせろ。
守るんじゃない、囲いを壊すんだ。」
ホスト 裏切り 派閥の渦中で立つ覚悟
夜、国見はひとり帳簿を持ってフロアを歩いていた。
問いただすべき相手の姿を探すも、言葉はまだ飲み込んだままだった。
「俺がここで怯えたら、全部終わる」
守られているだけの自分ではいられない。
不正を正すためには、たとえ相手が“仲間”でも、向き合わなければならない。
そのとき、視線を感じて振り返ると──
店の奥、照明の陰に、田村が立っていた。
目が合うと、ただ一度うなずき、すぐに姿を消した。
“見られている”。だが、責める目ではなかった。
なぜならそれは「お前なら、やれる」という、無言の承認だった。
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