
ホストの同伴のパターン??? ご飯のはずが、結果的になぜか店に…?
「遅れてごめんね。そろそろ時間だから、お店行かないと」
そう言いながら彼は笑って手を振った。
待ち合わせ時間を10分ほど過ぎていたが、私はそれ以上に、彼の“言い方”が気になった。
「え?今日って飲みに行く約束じゃないよね。ご飯に行くって言ったよ?」
たしかに私は“飲み”じゃなくて“食事”だと聞いていた。
なのに、彼は当然のように“お店へ行こう”とする。
一方でその時点で、すでにイヤな予感がしていた。
ホストの同伴は、甘くて強引
「そんなこと言わないでさ、お店一緒に来てよ」
彼はいつもの調子で笑いかけてくる。
しかし、私は即座に言い返した。
「私は同伴とかしないから」
そう、これまで私は“同伴”を避けてきた。
だって、営業前にご飯を一緒に食べて、そのまま店に連れていかれるなんて、
都合が良すぎる感じがしてしまうから。
けれど彼は、ひるむ様子も見せなかった。
「まぁまぁ。一緒に店に来てくれれば、二人っきりで、ゆっくり話ができるよ!」
それって、要するに、つ、つまり──営業じゃないの???
心のどこかでそう思いながらも、結果として私は言葉を飲み込んでしまった。
同伴とは、誘導の優しさ?
「ね?お店で二人きりで話そう!」
そう言って、彼は私の手を軽く引いた。
笑顔は変わらない。むしろ、どこまでも自然体だった。
だけど、私は心の中で強くツッコんでいた。
(お店って、二人っきりじゃないじゃん!!)
たしかに、彼の言うことも間違ってはいない。
個室もあるし、さらに周りにホストがいなければ“二人っきり”のような気分にはなれる。
それでもやっぱり、ご飯のつもりだった約束が“営業”にすり替わる感じが、どうしてもモヤっとした。
ホストの同伴とは何か
ちなみに、ホスト業界でいう「同伴」とは、営業前にホストと待ち合わせて、食事や買い物つまりデートのような事してから一緒に店に入ることを言います。一人で店に入りづらい人や、さらには営業前に担当君と楽しみたい方にはオススメの仕組みだ。一方で営業後に食事や飲みなどに行くことはアフターと言います。もちろん同伴はアフター(営業後のごはんやカラオケなど)とは違い、お店にとってもホストにとっても“利益”につながるため、歓迎されやすいのが特徴。
だからこそ、ホストは“ご飯”という言葉を使いながら、
実質的には同伴へと自然に誘導してくることがある。
もちろん、悪気はない。だからこそ、むしろ、相手を不快にさせないように、
このように“やわらかく”誘ってくるのだ。
けれど、心の準備がないと、そのギャップに戸惑ってしまう。
モヤモヤを残したまま、私は扉を開けた。
結局、私は彼に手を引かれたまま、店の入り口に立っていた。
「すぐに席、空いてるからさ」
そう言う彼の声に、私はうなずくしかなかった。
この人は、悪くない。たぶん、これが彼の“仕事”なのだ。
でも──
次に誘われたときは “ご飯”と“同伴”の違いを、ちゃんと確認しようと思った。
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第14話へ続く
