
ホスト 組織崩壊の序章は、静かな反逆から始まる
「……無断で帰った?」
ユウトの一言に、フロアが凍りついた。
リュウガ直属の部下として知られていたカズヤが、その晩の同伴をすっぽかし、店にも顔を出さなかった。
しかも連絡は一切なし。
──いや、あえてしなかった。
「すみません、連絡したんですが……」
後輩ホストが震える声で説明を始めた瞬間、ユウトは軽く手をあげて遮った。
「いい。全部わかった。」
その顔には怒りも戸惑いもなかった。ただ、深い疲労と、静かな決意がにじんでいた。
数年前なら、カズヤのような裏切りは即日クビだった。
だが今は違う。組織の屋台骨そのものが、ギシギシと音を立てて揺れている。
そして、その軋みの中心にいるのが──リュウガだった。
「勝てばいい」──リーダー不在の夜に ホスト 組織崩壊
リュウガのやり方は、結果主義だった。
売上さえ上げれば手段は問わない。
強引な営業、無理な約束、売掛を押し付けるような空気さえも──黙認されていた。
だが、そのツケは確実に回ってくる。
「売掛、今月4件飛んでます」
幹部会で報告された数字に、レンは表情を変えなかった。
が、内心は凍りついていた。
──これ以上、耐えられるわけがない。
──このままでは、組織そのものが崩壊する。
幹部の中には、すでに静かに距離を取る者も出てきていた。
「売れればいい」では、人はついてこない。
その空気を誰よりも感じていたのは、リュウガの参謀・ナオトだった。
「ユウトさん……俺、もう限界かもしれません」
ナオトの一言が、すべてを物語っていた。
暴かれる裏切り、選ばれる道
ナオトが手にしていたのは、匿名で届いたスクリーンショットだった。
──リュウガが裏で、競合店のオーナーと接触していた証拠。
しかも、その内容は“次の幹部昇格に関する条件”のようなものだった。
「このまま奴を頂点に置くわけにはいかない」
ユウトは、はっきりと言った。
そして、レンもまた黙ってうなずいた。
「変わらなきゃいけない。組織を、店を、そして自分たち自身を──」
その夜を境に、店の空気は一変する。
リュウガの命令に背く者が現れ、カズヤのように無断で店を離れる者が出始めた。
売上よりも、“誰と働きたいか”で動く者が増えたのだ。
それは、旧来の価値観を根底から揺るがす出来事だった。
だが、それこそがホスト 組織崩壊の実相だった。
次回『第41話:告発』──ついに暴かれる幹部の闇と、ユウトの最後通告。
“このままでは、誰も守れない──”
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