
ホストクラブの楽しみは席での会話だけではない。「ホストの送り指名」という、もうひとつの“ときめき”があるのだ。
帰ろうとしたとき、皇夜がさりげなくエレベーターの前に現れた。「もっと話したかったな」そんなふうに言われて、私は一瞬胸が高鳴る。
でも、それは“送り指名”されたから。つまり、営業の一環なのだとわかっている。
とはいえ、それでも少しだけうれしいのは、きっと自分が単純だからだろう。
「私も、もっと話したかったな」そう返しながら、なつはふとエレベーターのボタンを見つめる。「このまま、エレベーター来なければいいのにね」
無料で夢をくれる送り指名。でも…
送り指名は、帰るときに誰に見送ってもらうかを選べるシステム。
送り指名は無料で、気に入ったホストを最後にもう一度近くで見られる絶好の機会だ。
もちろんホスト側にとっても、自分を印象づける営業チャンスでもある。
しかしながら、そこであまりに“リアル”な会話をされると、少し現実に戻ってしまうこともある。
「それはちょっと嫌だな…」
皇夜が真顔でそうつぶやいた。
なつは軽く笑いながら言った。
「はっきり言うなよ」
楽しい時間の終わりに、こんな小さなやりとりがあるだけで、不思議と余韻が残る。
送り指名はエレベーターまで見送ってくれる素敵なシステムです。しかも無料。
だからこそ、せめて最後まで夢を見させてくれよと、思わずにはいられない 笑
ホスト用語解説
○送り指名
ホストクラブで会計時、見送りを担当するホストを指名できる制度。無料で利用可能。
気に入ったホストとの別れ際にもう一度話せるため、客にとってもホストにとっても大切な営業機会となる。
一言の余韻が残る夜。
それが、「ホストの送り指名」の魅力なのかもしれません。
この話をぜひ原作漫画で読んでください!!ホスト漫画ドットコム第8話