
ホスト SNS 炎上 ーそれは“塔”の隙間に差し込む火種
火種とは「No.1が抜かれる日も近いらしい」そんな匿名のSNSアカウントから突然流れた、たった一文だった。それは、とくに、誰に向けられているかなど、特に説明も根拠もなかった。それでも、店内の空気は確実に変わった。
なぜなら――ホスト界でSNSでの炎上は例え噂であっても、耳を傾けさせる力があるからだ。
信じた者が愚かか、囁いた者が狡猾か
一方、朝比奈はその投稿を、深夜の事務所で何度も読み返していた。
内容は曖昧で、誰のことかも特定できない。
だが、それでも彼の胸に広がる不安は無視できなかった。
「なぜ今、このタイミングで?」
その問いが頭を離れない。
なぜなら、ユウトの復帰、幹部会議、そして新人たちの派閥形成――
すべてが同時進行しているこの時期に限って、妙に“噂”が増えていたからだ。
ゴウの沈黙、ユウトの反応、そして朝比奈の焦燥
ゴウは噂に対して、何も言わなかった。
いつものように売上を積み重ね、堂々とフロアを歩くだけだった。
だがその背中は、どこか無理をしているようにも見えた。
ユウトは逆に、あえて軽口を飛ばした。
「そろそろ誰か、主役交代ってやつをやりたいんじゃないの?」
その言葉に対し、朝比奈は笑えなかった。
なぜなら、SNSで炎上された噂の流れが、現実を変えようとしているように見えたからだ。
噂は“事実”よりも強い時がある
その日、ある常連客がスタッフルームに問い合わせを入れた。
「ゴウくん、最近あまり指名伸びてないって聞いたけど、大丈夫なの?」
それを聞いた新人ホストが、また別の後輩に伝える。
すると翌日には、「ゴウ、売上落ちてきたらしいよ」となる。
事実がどうであれ、噂が先に走るのが夜の世界だ。
だからこそ――「夜をも燃やす」。
次話への導線:黒速会の“選挙”制度が動き出す
黒速会とは、歌舞伎町を拠点に急成長したホストグループであり、“数字と支配”を重視する統率型の巨大組織である。黒速会には非公式ながら、半年に一度、幹部を見直す“推薦制昇格”制度が存在する。
普段は話題にも上がらないそれが、今、なぜかざわつき始めた。
誰が動いたのか。
なぜ今なのか。
そして、何を崩したいのか――
“黒い巨塔”の基礎が、音もなく揺らいでいく。
▶ 第6話『ナンバーの裏に、名前はあるか?』へ続く
さらにその他の連載作品をご紹介します。
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